*2026年3月5日にジュネーブ(スイス)で発表されたプレスリリースの抄訳です。
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのS Tマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、 工場、家庭、スマート・シティ、 インフラなどで使用される数十億台もの小型スマート機器の性能向 上を実現し、厳しいコストやサイズ・ 電力の制約に対応する次世代のエントリレベル・ マイクロコントローラ(マイコン)「STM32C5」 を発表しました。
この新しいSTM32C5シリーズは、スマート・ サーモスタットや電子式ドアロック、産業用スマート・センサ、 ロボットのアクチュエータ、ウェアラブル機器、 コンピュータ周辺機器などのコンスーマ機器および業務用機器に最 適です。
STのグループ・バイスプレジデント 兼 汎用・車載用マイクロコントローラ事業部ジェネラル・ マネージャーであるPatrick Aidoune は、次のようにコメントしています。「 新製品であるSTM32C5は、 価格競争力に優れたマイコンの精度・速度・信頼性を高め、 新たな可能性を切り開きます。同製品は、 これまで20年間培われたSTM32の技術をベースに開発されま した。エントリレベルから先進的なマイコンまでを網羅し、 拡張性とセキュリティに優れた幅広い製品ポートフォリオを提供す るというSTの目標の一翼を担い、 組み込みシステムのアプリケーション領域を刷新します。」
STM32C5は、 ST独自の40nm製造プロセスに基づく優れた設計により、 現在使用されている多くのエントリレベルのチップに比べて、 より高速に処理を実行できます。そのため、 動作時消費電力を低く抑えながら、優れたセンシング技術や、 スムーズな制御、 ユーザ体験の向上などの最新機能を製品に搭載できます。
また、STM32C5 は、改ざんやサイバー・ リスクから製品を保護するセキュリティ機能を内蔵しており、 これらの機能は、 コンスーマおよび産業機器市場において重要性が高まるコネクテッ ド機器の安全性向上に貢献します。
新しいSTM32C5シリーズは、 アップグレードされた開発環境「STM32Cube」 に対応しています。STM32Cubeには、 サイズが最適化された、 量産グレードにも適応可能なソフトウェア・ ドライバが含まれており、 多数のハードウェア機能を活用することができます。また、 優れたコード生成機能と開発ツールも有しており、 量産向けに使用可能な幅広いソフトウェア・サンプル・ ライブラリも用意されています。 STM32Cubeは継続的に更新されており、 より迅速かつ効率的なコード生成をサポートするとともに、 最終製品の機能強化に貢献します。
SITグループの暖房・換気部門 エレクトロニクス・ビジネスライン ディレクターであるDennis Agnello氏 は、次のようにコメントしています。「 SITでは、 安全性が極めて重要なガスおよびHVAC環境で業務を行っており 、信頼性が不可欠な要素です。 次世代のバーナー統合制御プラットフォームにおいて、 STM32C5を選択することはごく自然な判断でした。 STM32C5は、 強力で予測可能なリアルタイム性能を備えており、 コンパクトなフットプリントでありながら、燃焼制御、炎検知、 安全インターロックを高精度で扱うことができるからです。 さらに、 既に検証済みのファームウェアの大部分を再利用できたことで、 開発のスピードアップと認証プロセスの簡略化を実現できました。 その結果、 長期的な信頼性と各種規制への適合を前提に設計された、 堅牢で拡張性の高い制御プラットフォームが完成しました。」
Circontrol社(Circutorグループ) の研究開発ディレクターであるEnrique Osorio氏 は、次のようにコメントしています。「 STM32C5の優れた性能と機能セットを活用して、 公共部門と民間部門で利用される低コストの次世代ACチャージャ を開発できました。この製品は、 スマートメータやEV充電ソリューションに求められる最新のセキ ュリティ、暗号化、 インタフェースの要件を完全に満たしています。 この開発プロジェクト全体を通じて、 STから柔軟かつ包括的な開発エコシステムのサポートが提供され たため、開発期間を短縮できたとともに、 機能面とコスト面の主要な課題を解決し、 製品の市場投入を前倒しすることができました。」
STM32C5は量産が開始されており、 UFQFPN20パッケージ(3 x 3mm)とLQFP144パッケージ(20 x 20mm)で提供されます。 システム開発をサポートするSTM32 Nucleo評価ボードと、 Riverdi社のディスプレイ拡張ボードも用意されています。 拡張ボードにはTouchGFX開発ソフトウェアが付属しており 、エントリレベルのグラフィック・ユーザ・インタフェース( GUI)を作成できます。
1万個購入時の参考価格は約0.64ドルです。
技術情報
新製品のSTM32C5マイコンは、先進的なArm® Cortex® – M33組み込みプロセッサの革新的な機能を活用しています。 Armコアは優れた性能と効率化を実現し、 ST独自の40nm製造プロセスはコスト効率に優れており、 高速の動作周波数に対応します。 また512KB超のメモリにも対応しており、 低密度プロセスでは実現が難しい領域をカバーします。 最小でも128KBのFlashメモリを内蔵するSTM32C5 マイコンは、従来Cortex-M0やCortex- M23などの比較的低性能の製品に限られていたエントリレベルの アプリケーションにも、Cortex- M33の性能を競争力のある価格で提供します。 最大1MBの製品が用意されており、 製品設計において大容量のコードおよびデータ用ストレージを利用 できるため、製品設計者は高度な新機能を実装できます。
40nmノードでArm Cortex-M33コアを設計することにより、 コストと消費電力を抑えつつ、 エントリレベル製品の演算性能を高められます。これにより、 センサの信号処理や、ノイズ抑制、 デバウンス処理など組み込みデジタル・ フィルタ演算を高速化できます。また、 電源方式は単一の低ドロップアウト(LDO) レギュレータで構成されているため、ユーザが使えるI/ Oピンが増えています。DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス) も内蔵しているため、消費電力の削減、システムの応答性向上、 ソフトウェアの簡略化が可能です。さらに、 STM32C5のDMAは2インスタンスを備え、 各インスタンスが少なくとも4チャネルを使用して2フェッチを並 列に実行できるため、 アプリケーションの性能を高めることができます。
STM32C5は、 SESIP3とPSAレベル3のセキュリティ認証をターゲットと しており、メモリ保護や改ざん保護、暗号化エンジン( AESによる対称暗号化およびハッシュ・アルゴリズム)に加え、 セキュア・ ブートやファームウェア更新などの処理を保護するHDP( 時間的分離)などセキュリティも備えています。さらに、「 STM32C59x」および「STM32C5A3」 にはセキュリ ティ機能が追加されており、HUK(ハードウェア・ユニーク・ キー)対応や、セキュアなキー・ストレージがあります。 またサイド・チャネル攻撃に対する保護機能を備えた対称 / 非対称動作のハードウェア暗号化アクセラレータも備えています。
要求の厳しい産業機器の環境に合わせて設計されたSTM32C5 は、過酷なネットワーク条件下でも優れた堅牢性を発揮します。- 40°C ~ +125°Cの幅広い周囲温度範囲と、最大140° Cの接合部温度に対応しています。 最大動作温度においても最大定格の周波数で動作し、 全温度範囲にわたり一貫した性能を維持できます。 STM32C5は、IEC 61508 SIL-2やIEC 60335-1/60730- 1クラスBなどの産業用安全性規格に準拠していますが、 これは必須のハードウェア機能とソフトウェア機能を統合すること で実現しています。
開発エコシステム強化の一環として、 STM32CubeMXの新バージョンである「 STM32CubeMX2」がリリースされました。 STM32CubeMX2に搭載されたプレビュー機能により、 リファレンス・コードへ迅速にアクセスできるため、 開発期間が短縮できるとともに、コード再利用も簡略化されます。 また、「STM32CubeC5」組み込みソフトウェアに、 コードサイズが最適化された最新のハードウェア抽象化レイヤ( HAL2)が新たに適用されました。この機能により、 全てのマイコンの機能にアクセスし、 より多くのマイコンのメモリをアプリケーションのコードに使用で きます。
STの認定パートナー企業RTONE社の組み込みソフトウェア・ エキスパートであるAlex Fabre氏 は、この新しいツールを体験し、 次のようにコメントしています。「STM32 HAL2は、 STM32C5などのファミリ製品で開発すると期間短縮と効率化 に貢献します。非常に軽量でハードウェア機能に近く、 他のSTM32マイコンへのコード移植が非常に簡単です。」
この包括的な開発エコシステムでは、 以下のようなツールも利用できます。
• 試作開発の期間を短縮し、リファレンス・ ハードウェア設計のガイドラインを提供するSTM32C5ハード ウェア評価ツール
• 量産に使用可能な多数のSTM32C5用サンプル・ コードに素早くアクセスでき、 STM32C5の機能の活用を簡略化し、 開発を加速する新しいサンプル・ライブラリ
• 開発とデバッグの期間を短縮する2つの無償の統合開発環境(S TM32CubeIDE およびSTM32CubeIDE for VSCODE )を選択可能
• 一般的なミドルウェア(FreeRTOS、LwIP、 USBX、FileXなど) の移植に最適化されたSTM32Cube開発エコシステム
STM32C5の詳細については、ウェブサイト をご覧ください。
STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。 STM32は米国特許商標庁に登録されています。
STマイクロエレクトロニクスについて
STは、約48,000名の従業員を擁し、包括的なサプライ・ チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカー です。 約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しなが ら、 お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリ ューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます 。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、 電力エネルギー管理の効率化、 クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、 すべての直接・間接排出(スコープ1および2)、 ならびに製品輸送、従業員の出張・通勤による排出( スコープ3の注力分野) におけるカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを進めており 、2027年末までに再生可能エネルギーの使用率を100% にする計画です。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(htt p://www.st.com )をご覧ください。