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Linuxユーザ向けにSTM32マイコン用の無償組込み開発ツールを発表

・高い生産性を持つ無償開発ツールがLinuxおよびWindowsに対応し、全ての主要ソフトウェアOSでSTM32を使用した簡単な機器開発を実現

2016年2月17日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、32bitマイクロコントローラ(マイコン) STM32を搭載するシステムの無償設計ツールを、エンジニア、学生およびホビー・ユーザを含むLinuxシステムのユーザ向けに拡張したことを発表しました。

Linuxは、その多くが無償で提供されており、オープンソースのアプリケーション・ソフトウェアが存在することから、熱心なエンジニアにとって魅力的な技術となっています。しかし、これまで組込みシステム開発ツールの大半は、Windows® OSでしか利用できませんでした。

今回、STM32CubeMXの初期設定ツールと、Ac6社が開発した統合開発環境(IDE)で
openSTM32.orgコミュニティ(www.openstm32.org)がサポートするSystem Workbench® for STM32(www.st.com/sw4stm32より入手可)が、Linux OSで実行できるようになりました。

STのこの取り組みにより、Linuxユーザは、使い慣れたデスクトップ環境のまま、STM32マイコンを使用した組込みシステムのプロジェクトを無償で開始することができます。STは、LinuxエンジニアにSTM32という選択肢を提供することで、ARM® Cortex®-Mプロセッサ(32bit)をベースとする先進的なマイコン市場での主導的立場をさらに強化していきます。

STのマイクロコントローラ事業部 マイクロコントローラ・エコシステム担当マーケティング・マネージャであるLaurent Desseignesは、次の様にコメントしています。「Linuxコミュニティは、アイデアの共有や効率的な問題解決に長けた、自由な発想を持つ人々に好まれていることで知られています。STは、このような人々がスキルを活かし、STM32ファミリの機能・性能を活用したクリエイティブな製品の開発に貢献します。」

STの取り組みにより、Linuxユーザは、メーカーがサポートする低コストの評価ボードだけでなく、無償ソフトウェアを利用したマイコンの設定およびコード開発・デバッグが可能になるため、製品開発にさらに専念することができます。Linuxを使用する場合、ユーザは最小限のサポートでツールを作成・適用する必要がよくありますが、こうした慣例とは対照的に、本ツールは非常に簡単かつ迅速にインストールできます。

Ac6社の最高技術責任者(CTO)であるBernard Dautrevaux氏は、次の様にコメントしています。「2015年の初めにSystem Workbench for STM32を発表して以来、その人気はWindows / Linuxプラットフォームで高まっています。STの新しいLinux用ツールは、当社とopenSTM32の取り組みの有効性を実証し、これらを補完するものです。当社はSTをさらにサポートする上で、将来的な開発ホストとしてOS Xもサポートするなど、System Workbench for STM32の大幅なアップグレードを計画しています。」

技術情報

Ac6 System Workbench for STM32は、OpenOCD(1) コミュニティ・プロジェクトの適合バージョンを通じ、LinuxでST-LINK/V2デバッグ・ツールをサポートしています。これらのツールは、STの低コスト開発ハードウェア(STM32 Nucleoボード、開発キット、評価ボードなど)の他、STM32Cube組込みソフトウェア・パッケージまたは標準ペリフェラル・ライブラリ内のマイコン・ファームウェアと併用できます。

STM32マイコン・ファミリには、消費電力やコストが重視される機器開発から、高性能および高集積が求められる洗練されたデザインの機器開発まで、ほぼ全ての組込みシステムに対応した製品が用意されています。また、全ての汎用マイコン向けARM Cortex-Mプロセッサ(M0 / M0+ / M3 / M4 / M7)に対応しており、業界最大のCortex-Mマイコン・ポートフォリオを構築しています。

STM32ファミリは、現在、各種Flashメモリ容量(最大2MB)やパッケージ・オプションの他、様々な内蔵機能(USB、イーサネットまたはCANコントローラ、オーディオ・インタフェースおよびアクセラレータ、高精度なアナログ・ペリフェラル、汎用 / 高精度タイマ、PWMジェネレータ、およびハードウェア暗号化エンジンなど)の選択が可能な600品種以上の製品で構成されています。また、超低消費電力のSTM32L0 / L1 / L4シリーズは、充実した電源制御オプション、動的な電圧調整に加え、消費電力の最小化が最大の課題であるアプリケーション向けの特殊なアダプティブ・アクセラレータ機能を備えています。

(1) OpenOCD(Open On-Chip Debug) : チップ上で直接稼働するように設計された、ARMベースの組込みシステム向けソフトウェア・デバッガを開発する無償のオープン・ソース・プロジェクト

Ac6について
Ac6は、ハードウェアとソフトウェアの両方の専門性を備えており、組込みシステムに関するトレーニング、専門性、エンジニアリング、およびソフトウェア・ツールに注力しています。

STおよびARMコミュニティとの協力を通じて、Ac6はお客様に対し、最新の組込み製品、システム・オン・チップ(SoC)、ソフトウェアに関する深い専門性の提供を保証します。また、Ac6は、ベア・メタルやRTOS、またはLinux上での組込みアプリケーション開発用にEclipseベースのツールも開発しています。

毎年、世界各地で800名を超えるエンジニアがAc6のトレーニングを受講しています。詳細については、Ac6のウェブサイトwww.ac6.frをご覧ください。