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セキュアなモバイル決済機能の設計を簡略化する新たな開発エコシステムを発表

・実績のあるセキュア・デバイスを活用し、ソリューションの小型化に貢献する開発エコシステム

2015年11月27日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、モバイル決済のセキュリティ強化を簡略化する新しい開発エコシステムを発表しました。これにより、スマート・ウォッチなどのウェアラブル機器が、スマートフォンに代わるデジタル・ライフの中心になる可能性があります。

インターネットに接続されるウェアラブル機器は、2019年までに5億台以上になると予測されています(1)。つまり、この膨大な数の潜在的ユーザが、カードやスマートフォンよりも自然に操作できるセキュアなデバイスで、便利なモバイル決済を行う可能性があります。STの新しい開発エコシステムは、製品設計者が、ウェアラブル機器のメイン・マイコンと、悪意ある攻撃から強力に保護するハードウェア・セキュア・エレメントを使用し、決済、チケット発券、デジタル・アクセス、ロイヤルティ・カードなどのアプリケーションをウェアラブル機器に実装する際の手助けをします。

この開発エコシステムは、STM32マイコンなどを中心に構成するアプリケーションを構築するために必要なあらゆる要素を開発者に提供します。STのポートフォリオから実績あるセキュア・エレメントを選択できるのに加え、高性能アナログICおよびセンサのリーディング・サプライヤであるams社のNFC(近距離無線通信)アンテナ・ブースター・テクノロジーをオプションで追加することも可能です。ams社のテクノロジーにより、ウェアラブル機器に最適なNFC用の極小アンテナを実装できます。このテクノロジーは、STとams社が共同開発し、2015年初旬に発表(2)されたもので、モバイル決済のリファレンス設計にすでに取り入れられています。

STのセキュア・マイクロコントローラ事業部 マーケティング・ディレクターであるLaurent Degauqueは、次の様にコメントしています。「セキュアなハードウェアによる決済は、より広範なエンド・ユーザに向けてウェアラブル機器の魅力をさらに高め、ウェアラブル市場とモバイル決済市場の両方を迅速かつ最大限に成長させることにつながります。当社の開発エコシステムは、ハードウェアとソフトウェアの完全な統合に必要な要素を全て備えており、新製品の開発期間の短縮だけでなく、実績のあるSTのセキュア・エレメントを活用した最高レベルのセキュリティを確実にします。」

技術情報
新しい開発エコシステムでは、STのST31セキュア・マイコンを実装した拡張ボードか、セキュア・マイコンとNFCコントローラ、取り外し可能なNFCアンテナ、および必要なソフトウェアを含むST54システム・イン・パッケージ(SiP)を実装した拡張ボードのいずれかを選択することができます。ST31を使用した設計は、クレジットカード機能をサポートするスマート・バンドなどのVIPバンキング・アプリケーションに最適で、ST54にはOEM製のNFC決済対応機器をサポートできるというメリットがあります。

どちらの拡張ボードも幅広く利用できるArduino™コネクタを搭載しており、マイコン用開発ボード STM32 Nucleoで構成されるマイコン用開発エコシステムと互換性があります。また、Bluetooth®モジュールや指紋認識などの機能追加を簡略化する、さまざまな拡張ボードX-Nucleoとも互換性があります。ST31およびST54は、ともにNFC規格に準拠し、EMVCo(Europay、Mastercard®、Visa®)およびCC-EAL5+(コモン・クライテリア・レベル5+)のセキュリティ認証を取得しています。

ソフトウェア開発キット(SDK)に付属するソフトウェア・ブロックは、セキュア・エレメントの管理、Bluetooth® Low Energy(BLE)通信と各種接続(I2C、SPI、USB)の維持、およびNFCコントローラの制御、設定、ファームウェア更新の処理に必要なあらゆる要素を提供します。また、BLEアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)も提供されます。このAPIは、STM32 BLEソフトウェア・スタックを使用し、リモート・デバイス(スマートフォン等)の電子ウォレット・アプリケーションからセキュアな決済アプリケーションへの接続を実現します。

さらに、このソフトウェア開発キットには、リアルタイム性能の確保と、RAM / Flashメモリのフットプリント最小化など、マイコンのリソースを最大限活用するために最適化されたNFCスタックも含まれます。このNFCスタックは、ARM® Cortex®-Mを搭載したSTM32マイコンの実行可能コードとして提供され、開発者には製品の性能・価格・パッケージ・機能・消費電力に関して幅広い選択肢が与えられます。

このソフトウェア開発キットでサポートされる全ての製品は現在量産中で、STまたは販売代理店より入手可能です。なお、アンテナ・ブースターICについては、ams社より入手可能です。

詳細については、https://www.st.com/securewearable をご覧ください。

(1) 「Cisco Visual Networking Index:全世界のモバイル データ トラフィックの予測、2014~2019年アップデート(Global Mobile Data Traffic Forecast Update 2014-2019)」ホワイトペーパー:http://www.cisco.com/web/JP/solution/isp/ipngn/literature/white_paper_c11-520862.html
(2) https://www.st.com/content/st_com/ja/about/media-center/press-item.html/t3670.html