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組込みシステム開発を簡略化する認証済みHALファームウェアを発表

2015年9月7日

STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、ARM® Cortex®-M搭載32bitマイクロコントローラ(マイコン)であるSTM32の設計エコシステムに、ハードウェア抽象化レイヤ(HAL)ファームウェアの最新セットを追加したことを発表しました。このHALファームウェアの最新セットは、MISRA(1) Cガイドライン、および自動車業界向けの要求水準の高い品質管理標準であるISO/TS16949に準拠しています。

これにより、組込みシステム開発者は、各自のファームウェアのリリース・バージョンに、STのローレベル・ドライバや抽象化API(Application Program Interface)を導入できるため、ローレベル・ドライバに至るあらゆる機能のデバッグや更新に時間をかけることなく、アプリケーション・コードの開発に注力できます。

このHALファームウェア・セットは、STM32マイコンの全9シリーズに対応する無償開発プラットフォーム「STMCube™」の一部として提供されます。STのHALの開発プロセスは、CMM(2) に基づいてモデル化されています。また、STのHAL開発チームは、外部監査を通じて、国際的なISO/TS16949規格準拠の認定を取得しています。

STM32のHALは、ファームウェアのブリック・レベルとシステム・レベルの両方において、包括的かつ機能的な検証が実施されています。特にSTM32マイコン向けに調整された以下の検証手法により、C標準だけではなく、より詳細な認定への適合を確実にしています。

• 全機能を全パラメータでテスト
• ペリフェラルの全機能をテスト
• ブリック間のシステム・レベルのインタラクション(重要なタイミング等)に関する機能テスト

検証プロセスは、製造前および製造後の両フェーズに対応しています。HALは、まずマイコンの試作段階においてFPGAを使用した開発・検証が行われ、その後、実際のシリコン上で検証されます。また、各種ツール(IAR、Keil、GCC)でもテストが実施される他、STのSTM32CubeMXコード生成ツールでも使用されるため、別のレベルの機能テストが追加されていると言えます。

STM32Cube HALは、STM32の10年間の製品供給保証によって維持される、信頼性の高い認定済みファームウェア・パッケージと共に、組込みシステムの開発期間を短縮するだけでなく、最終製品のメンテナンスを簡略化します。

(1) 組込みシステムにおけるコードの安全性・移植性・信頼性の確立を支援するMISRA(Motor Industry Software Reliability Association)が策定した、Cプログラミング言語向けのソフトウェア開発ガイドライン
(2) Capability Maturity Model : 組織内でのソフトウェア・エンジニアリングの成熟度の展開方法について記述した能力成熟度モデル