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LoRa®対応ワイヤレス・マイコン STM32WLシリーズを拡充

・さまざまな変調方式をサポートするLoRa®対応ワイヤレス・マイコンが革新的なIoT機器の開発を加速 ・マス・マーケット向けに機能やパッケージ・オプションを拡充し、プロトコルの互換性を向上(Sigfoxなど) ・デュアルコア・アーキテクチャにより、性能、サイバー・セキュリティ、柔軟性が向上

2020年12月9日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、世界初のLoRa®対応ワイヤレス・マイクロコントローラ(マイコン)STM32WLシリーズを拡充し、さまざまなマス・マーケット・アプリケーション向けに柔軟な機能セットおよびパッケージ・オプションを追加しました。

STM32WLシリーズは、LoRaベースの低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)に対応し、システム・オン・チップ(SoC)として提供される世界初のワイヤレス・マイコンです。きわめて小型かつ電力効率と信頼性に優れたIoT機器の開発に貢献します。LPWANは、幅広い地域や遠隔地においてコスト・パフォーマンスに優れた通信を可能にします。そのため、IoTの通信範囲を拡大させるとともに、公共事業や農業、輸送、交通機関をはじめとするさまざまな業界において、スマート・テクノロジーを活用した高い付加価値を実現することができます。

STのグループ・バイスプレジデント 兼 マイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるRicardo de Sa Earpは、次のようにコメントしています。「LoRaWANSigfoxなどを使用した長距離IoTネットワークは現在、世界的に展開されており、環境モニタリングやアセット・トラッキングなどのアプリケーションにおいて、革新的で利便性の高いIoT機器を接続することができます。汎用マイコンと複数の変調方式をサポートするSub-GHz無線トランシーバを1チップに集積したSTM32WLシリーズをマス・マーケットに提供することで、長距離IoTネットワーク活用した画期的な製品の開発を加速させ、優れた機能や利便性、および高い価値を提供することが可能になります。」

STM32WLシリーズは、STの超低消費電力マイコン・アーキテクチャと、複数の変調方式に対応するSub-GHz無線通信サブシステムを兼ね備えています。低RF信号強度で高受信感度を実現するLoRaのほか、SigfoxワイヤレスMeter-Bus(wM-Bus)などのプロトコル、独自プロトコル、およびSub-GHz長距離無線プロトコルに使用される(G)FSK、(G)MSK、BPSK変調方式をサポートしています。また、2種類の送信電力に対応しているため、免許が不要のSub-GHz帯において、世界各地域のRF規格に準拠することができます。

今回STM32WLシリーズに追加されたデュアルコア搭載STM32WL55マイコンは、Arm® Cortex®-M4とCortex-M0+マイコンをベースとしており、いずれも完全にオープンな環境で柔軟な開発が可能です。デュアルコア・アーキテクチャにより、サイバー・セキュリティを強化する効果的なハードウェア分離が可能なほか、アプリケーションのアップデート時に新しい無線通信製品としての再認証が不要になり、無線通信とアプリケーション双方のリアルタイム性能が向上します。

STM32WLシリーズでは、2020年1月に発表されたシングルコア搭載のSTM32WLE5マイコンも提供されています。BGA73およびQFN48パッケージで提供される同製品は、Cortex-M4を使用して無線通信およびアプリケーションの処理を行います。また、シングルコア搭載のSTM32WLE4およびデュアルコア搭載のSTM32WL54という2品種のLoRa非対応製品も製品ラインアップに加わり、新たなワイヤレスIoTプロジェクトにおいて、より柔軟な開発を実現します。STM32WLシリーズの製品はすべて、STが産業機器向け製品に適用している10年間の長期製品供給保証の対象製品です。

価格およびサンプル提供については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせください。

詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

技術情報

STM32WLシリーズは、STの超低消費電力マイコン・アーキテクチャのモノリシック集積化と、LoRaをはじめとする複数のSub-GHz変調方式サポートを特徴とする製品です。 無線技術は、Semtech社の実績あるSX126xトランシーバIPをベースに、STM32マイコン・プラットフォームの実績ある電力モードに合わせてSTが特別に再設計しています。また、最大送信電力15dBmおよび22dBmの2つのパワー・アンプが搭載されています。高パワーと低パワーの2種類の送信モードが採用されており、免許が不要のSub-GHzの周波数帯(150MHz~960MHz)を使用するため、各種LPWANとの互換性を有しているほか、世界各地域の最終製品に搭載することができます。

高集積の無線により、高速外部(HSE)クロックと無線機を1つの水晶発振子で同期させることができ、外付けパワー・アンプ(PA)が不要になるため、全体の部品数を最小限に抑えて実装面積を大幅に縮小することができます。また、STM32WLシリーズには、DSP拡張命令を持つ高電力効率かつ高性能のCortex-M4を搭載したSTM32L4のアーキテクチャが活用されており、動的電圧スケーリング機能といった超低消費電力技術や、STのアダプティブ・リアルタイム・アクセラレータ(ART Accelerator™)によるFlashメモリからのゼロ・ウェイト実行も可能です。さらに、最大256KBのFlashメモリ容量のオプションがあり、アプリケーションと無線通信を含むプラットフォーム全体で、コード用 / データ用に最適なメモリ容量を選択できます。

また、ハードウェア対称暗号エンジンや公開鍵アクセラレータ、真乱数発生器(TRNG)、知的財産コードの読み出し保護機能(PCROP)、デュアルコアによるセキュアなハードウェア分離や、RSA、楕円曲線暗号(ECC)、楕円曲線デジタル署名アルゴリズム(ECDSA)を含む最新の暗号化アルゴリズムなど、内蔵のサイバー・セキュリティ機能も利用できます。

さらに、実績のあるSTM32Cube開発エコシステムを利用することで、製品開発の簡略化と開発期間の短縮が可能です。STM32Cube開発エコシステムでは、マイコンの初期化コード自動生成ツール「STM32CubeMX」や、動作時変数モニタ / 視覚化ツール「STM32CubeMonitor」、およびプログラミング・ツール「STM32CubeProgrammer」などが無償で提供されています。

ペリフェラル・ドライバ、STのLoRaWANプロトコル・スタック、Sigfoxスタックのほか、STのセキュア・ブート-セキュア・ファームウェア・アップデート(SBSFU)テクノロジーを活用したLoRaWAN Over The Airファームウェア更新(FUOTA)のサンプル・コードなど、STM32WLシリーズの操作に必要な組込みソフトウェアがすべて含まれたSTM32WLシリーズ向けのソフトウェア・パッケージも提供されています。Stackforce社のW-MBusスタックなど、STの認定パートナー企業により提供されるスタックも使用可能です。また、STM32WLマイコンをベースにした開発ボード「NUCLEO-WL55JC1」(868 / 915 / 923MHz)および「NUCLEO-WL55JC2」(433 / 470MHz)も提供されており、試作開発の迅速化に貢献します。

 STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は米国特許商標庁に登録されています。