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先進的な性能とセキュリティ機能を搭載しさらなる超低消費電力を実現したSTM32U5マイコンを発表

・効率的な40nmプロセス技術と革新的な低消費電力機能により、すべての動作モードで消費電力を最小化 ・Arm® Cortex®-M33コアと先進的なサイバー・セキュリティ、グラフィック機能、ペリフェラルを搭載し、要件の厳しいコンスーマ機器および産業機器に対応

2021年2月25日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、次世代の超低消費電力32bitマイクロコントローラ(マイコン)「STM32U5*シリーズ」を発表しました。同製品は、ウェアラブル機器、コンスーマ向けヘルスケア機器、スマート・ホーム機器、産業用センサといったアプリケーションにおいて、性能 / 消費電力間のきわめて厳しい要件に対応します。

業界をけん引する汎用32bitマイコンSTM32ファミリは、きわめて電力効率が高いArm® Cortex®-Mを搭載しており、これまでに数多くの生活家電、産業制御機器、コンピュータ周辺機器、通信機器、およびスマート・シティやスマート・インフラストラクチャにおける管理用機器に採用されています。

STM32U5シリーズは、電力効率に優れたCortex-M33、ST独自の革新的な低消費電力機能および内蔵IPを組み合わせることで、性能を向上させると共に消費電力を削減しています。また、PSAおよびSESIP(Security Evaluation Standard for IoT Platforms)保証レベル3を対象としたハードウェア・ベースの保護機能を含む先進的なサイバー・セキュリティや、優れたユーザ体験を提供するグラフィック・アクセラレータなど、今日のアプリケーションに必要な最先端の新機能が追加されています。

STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるRicardo De Sa Earpは、次のようにコメントしています。「世界のマイコン市場におけるSTのシェアは過去5年でほぼ倍増しており、これまでに20億個以上の超低消費電力STM32マイコンが出荷されています。STは、消費電力の削減に関する専門性や重点的な取組みにより、超低消費電力マイコンにおいて特に高い優位性を持ち、約25%の市場シェアを誇ります。STM32U5シリーズが広く普及し、電力定格や性能、サイバー・セキュリティに優れた新しいコンスーマおよび産業用スマート機器の開発に貢献できることを期待しています。」

Arm社のIoTビジネス担当バイス・プレジデントであるMohamed Awad氏は、次のようにコメントしています。「今日のスマート・アプリケーションでは、セキュアな基盤および優れた電力効率が求められています。Armテクノロジーが採用されたSTの最新マイコンは、電力効率とセキュリティを向上させると共に、Arm Keil® MDKを利用して消費電力を最適化させることができます。」

また、STは、STM32U5マイコン、Wi-Fi®モジュール、Bluetooth®モジュール、および各種センサを含む開発キット「STM32U5 IoT Discovery Kit(B-U585I-IOT02A)」を発表しました。同キットは、Microsoft®社により、新しいAzure Certified Deviceプログラムのリファレンス・ボードとして選ばれています。Microsoft社のAzure IoT担当コーポレート・バイス・プレジデントであるSam George氏は、次のようにコメントしています。「STM32U5マイコンが提供する優れたプラットフォームでは、先進的な機能を利用して、Azure RTOS経由でAzure IoTサービスを提供することができます。2021年を通じ、Microsoftの開発者向けカンファレンスで、STと共にソリューションを共同発表できることを楽しみにしています。」STM32U5 IoT Discovery Kitは2021年内に提供が開始される予定です。

クラウド・コミュニケーション・プラットフォーム・サービスの大手企業であるTwilio社は、STM32U5マイコンの主要顧客として、同マイコンを革新的なIoT機器開発プラットフォーム「Microvisor」に採用しました。Twilio社のリード・プロダクト・マネージャであるJonathan Williams氏は、次のようにコメントしています。「STM32U5マイコンを使用した開発をいち早く開始したことで、Microvisorは超低消費電力、性能効率、および先進的なサイバー・セキュリティを備えた、顧客ニーズに対応する独自の製品となりました。」

STM32U5マイコンは現在サンプル出荷中で、2021年9月に量産開始予定です。参考サンプル価格は約3.60ドルで、WLCSP(4.2 x 3.95mm)、UQFN48(7 x 7mm)、UFBGA169をはじめとする幅広いパッケージで提供される予定です。

技術情報

低消費電力機能
STM32U5シリーズに導入された革新的な自律動作モードでは、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)とペリフェラルを動作させたままマイコンの大部分をスリープ状態にし、消費電力を削減することができます。動作モードを細かくコントロールできるため、マイコンのメモリを部分的にオフにすることで、未使用セルへの給電を停止します。STM32U5シリーズは、マイコンに適した最先端ノードである40nmプロセス技術を使用して製造されており、動的な動作モードと低消費電力モードの両方で消費電力を低減します。

また、消費電力を最適化する動的電圧スケーリング機能や、Flashメモリを効率的に読み取るARTアクセラレータ™など、すでに実績のある超低消費電力マイコンSTM32L0 / STM32L4 / STM32L5シリーズの機能も搭載されています。ARTアクセラレータは、アップデートにより、マイコン内部メモリに加え外部Flashメモリからのアクセスにも対応可能になりました。

さらに、先進的なDC-DCコンバータとレギュレータ(LDO)を集積して並列接続し、オンザフライで出力を調整することができるため、動的な消費電力を19µA/MHz未満まで削減可能です。

ペリフェラルのアップグレード
低消費電力機能以外にも、Flashメモリ容量の拡大など、要件の厳しいアプリケーションに対応できる新機能が提供されています。最大2MBの内蔵Flashメモリに加え、外部メモリへの高速インタフェースを搭載しているため、メモリ容量の拡張が可能です。また、内蔵Flashメモリのうち最大0.5MBの領域は書き込み対応回数が長寿命化され、最大100,000回の読取り / 書込みサイクルに対応するため、頻繁なデータ書き込みの用途に使用可能です。

さらに、先進的な高速14bit ADコンバータにより、次世代の検出およびトラッキング・アプリケーションにも対応します。

多機能デジタル・フィルタ(MDF)とオーディオ・デジタル・フィルタ(ADF)により、STの実績あるDFSDM(Digital Filter for Sigma-Delta Modulator)がアップグレードされました。これにより、音声アクティビティ検出の性能が向上したため、マイコン・ベースの低コストかつ低消費電力の機器にAIを導入することができます。さらに、ECC(エラー修正符号)メモリがRAMの一部として搭載されているため、安全性が重視されるアプリケーションの要件にも対応します。

サイバー・セキュリティの強化
STM32U5シリーズには、Arm TrustZone®搭載のCortex-M33およびST独自のセキュリティ機能による優れたサイバー・セキュリティ(STM32L5シリーズ)に加えて、最先端の革新的な機能が導入されています。
• AES暗号化アクセラレータと公開鍵アクセラレータ(PKA)により、電力差分分析(DPA)によるサイドチャネル攻撃をハードウェアで防止
• Hardware Unique Key(HUK)によるセキュアなデータ・ストレージ
• アクティブ・タンパ検出
• 摂動攻撃発生時に機密データを消去できる内部モニタリング機能により、POSアプリケーション向けのPCI Security Standards Council(PCI SSC)要件に準拠
新しい開発エコシステム
STM32Cubeソフトウェア・スイートにAzure RTOSが統合され、STM32CubeIDEツールやSTM32CubeMXの設定機能や追加サンプルを使用できるようになる予定です。これにより、性能向上や認証取得に貢献します。

STM32U5 IoT Discovery Kit は、低消費電力通信やさまざまなセンシング、クラウド・サーバへのダイレクト接続を利用することで、幅広いアプリケーションを実現します。同キットには、Wi-Fi、Bluetoothモジュール、MEMSマイク、温湿度センサ、地磁気センサ、加速度センサ、ジャイロ・センサ、大気圧センサ、ToF(Time-of-Flight)測距センサ、およびモーション・センサが含まれています。

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 STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は米国特許商標庁に登録されています。