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IoT機器および組込みシステムの性能や電力効率を高める新しいSTM32U5マイコンを発表

・主要顧客であるAjax Systems社が次世代ワイヤレス・セキュリティおよびスマート・ホーム・ソリューションにSTM32U5マイコンを採用
・NISTの組込み乱数エントロピー・ソース認証を受けた業界初の汎用マイコン

2023年2月21日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、先進的な汎用32bitマイクロコントローラ(マイコン)STM32*ファミリを拡充し、STM32U5シリーズに新たな製品を追加しました。同製品は、性能を高めつつ消費電力が削減されているため、さらなる長時間動作と電力効率の向上を実現しています。また、NISTの組込み乱数エントロピー・ソース認証 を受けた業界初の製品です。

新しいSTM32U5マイコンにより、STM32U5シリーズのメモリ・サイズの範囲が拡張されます。コスト重視のアプリケーション向けにFlashメモリ・サイズが128KBの製品が追加され、複雑なアプリケーションやスマートフォンのような高度なユーザ・インタフェース向けに大容量のメモリを備えた製品も追加されます。中でもSTM32U59x/5Axマイコンは、STM32マイコン史上最大容量の内蔵メモリとして、4MB Flashと2.5MB SRAMを搭載しています。

また、強化された機能により、特に遠隔地やアクセスが困難な場所で運用される環境センサや産業用アクチュエータ、ビル・オートメーション、スマート・ホーム機器、ウェアラブル機器、eモビリティ制御など、高度な組込みアプリケーションの性能向上に貢献します。スマートな暮らしや働き方に向けて大量のIoT機器が世界中で導入される中、STM32U5マイコンは性能および電力効率の向上、サイバー・セキュリティの強化により、その発展を加速させます。

STM32マイコンはすべて、業界標準のArm® Cortex®-Mコアをベースにしており、強力で使いやすいSTM32Cube開発エコシステムおよび組込みAI開発ツール「STM32Cube.AI」に対応しています。STM32Cube.AIでは、事前学習済みのニューラル・ネットワークをSTM32マイコンに最適化されたコードに変換することで最先端の組込みAI / 機械学習ソリューションの開発を行うことができます。ユーザのプロジェクトを一貫してサポートするツールやソフトウェアが集約されています。

STM32U5シリーズには、性能および電力効率の向上、サイバー攻撃や物理的攻撃に対する耐性の強化といった先進技術が取り入れられた最新世代のCortex-M33が採用されています。このCortex-M33を中心に、超低消費電力マイコンに関するSTのノウハウを加え、実績あるArmの優れたサイバー・セキュリティ原則を採用したアーキテクチャを実装しています。また、同シリーズには2.5Dグラフィック・アクセラレータを搭載した製品も含まれています。そのため、次世代アプリケーションにもすぐに対応できるピン配置互換性やソフトウェア互換性のある製品を数多く取り揃えた画期的な製品シリーズとなっています。

STの汎用マイクロコントローラ・サブグループ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるRicardo De Sa Earpは、次のようにコメントしています。「多くのアプリケーションにおいて、より多くの機能、より洗練されたグラフィックス、より高速な動作が求められています。また同時に、バッテリの小型化やエナジー・ハーベスティングの採用による動作時間の延長なども求められていることから、STはSTM32U5マイコンを開発し、シリーズの拡充を続けています。STM32U5マイコンは、最新のArmコアにST独自の超低消費電力技術や大容量の内蔵メモリ、オプションとしてユーザの視覚体験を高めるNeoChromグラフィック・アクセラレータを組み合わせた製品です。」

STM32U5シリーズの主要顧客の1社であるAjax Systems社は、すでにこの新しいマイコンを使用した次世代のワイヤレス・セキュリティおよびスマート・ホーム・ソリューションの設計を始めています。同社のデバイス部門 研究開発担当ディレクターであるMax Melnyk氏は、次のようにコメントしています。「半導体市場における世界的な大手メーカーであるSTとの協力は、Ajax製品の進化と強化に貢献しています。STM32U5シリーズは、DSPや浮動小数点コプロセッサを搭載した他のマイコンと同等の性能を維持しつつ、消費電力を大幅に削減することができます。また、既存コードの90%を再利用することができます。さらに、高速でなめらかなグラフィックス性能に必要なダブル・フレーム・バッファに十分対応できる大容量SRAMが内蔵されていることも、当社にとって大きなメリットです。リソースを読み込むための内蔵Flashも大容量です。STM32U5マイコンが次世代のAjax製品の開発を加速してくれると確信しています。」

技術情報

STM32U5マイコンには、自律型ペリフェラルや低消費電力バックグラウンド自律モード(LPBAM)など、ST独自の低消費電力機能が搭載されています。LPBAMは、アプリケーションの重要機能を維持しつつ、コアやその他の未使用ブロックを柔軟な低消費電力モードのいずれかに移行させて消費電力を削減します。この状態から素早くコアをウェイクアップし、データのバッチを効率的に処理した後、再び低消費電力モードに移行することが可能です。

また、STM32U5マイコンは、コードおよびデータ・ストレージ用の最大4MB Flashに加え、高度なアプリケーション処理用に最大2.5MBのSRAMも内蔵しています。この大容量の内蔵メモリにより、消費電力、部品コスト、および基板サイズの増大につながる外付けメモリの追加が不要です。

さらに、超低消費電力マイコンにおいて顕著なグラフィック性能の制約も解消しています。STの先進的なNeoChromグラフィック処理ユニット(GPU)を搭載した製品は、これまで高価なマイクロプロセッサ・ベースのシステムでなければ不可能であった高度なグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を実行可能です。そのため、小型の組込みプロセッサでスマートフォンのようなユーザ体験を実現できます。GUI開発では、SVGを新たにサポートし、豊富なグラフィカル・アセットを提供するSTの組込みGUI開発ツール「TouchGFX」を利用可能です。

STM32U5マイコンは、これらの高度な機能をサポートする場合に通常必要となるプロセッサとは異なり、最小限の基板層数でシンプルに構成できる低コストのLQFP100パッケージで供給されます。開発者は、STM32CubeU5ソフトウェア・パッケージ、新しいSTM32 Nucleoボード「NUCLEO-U545RE」および「NUCLEO-U5A5ZJ」、STM32U5A9J-DKグラフィックス開発キットなどのリソースを活用し、プロジェクトを加速させることができます。

STM32U5シリーズは、メモリ保護ユニットを搭載したCortex-M33コア、およびハードウェア分離機能を備えたArm® TrustZone®アーキテクチャを活用し、サイバー・セキュリティを強化しています。また、高度なAESアルゴリズム用の暗号処理アクセラレータ、公開鍵暗号処理アクセラレータ(PKA)のサポート、物理攻撃に対する耐性も備えています。FlashおよびSRAMは、エラー訂正コード(ECC)をサポートするため、データ破損の防止や、サイバー・セキュリティと安全性の強化に貢献します。

STM32U5マイコンは、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)の組込み乱数エントロピー・ソース認定を受けた業界初の汎用マイコンです。この認証はユーザによる再利用が可能なため、SP800-90Bの最終認証が必要なアプリケーションの認証プロセスの簡略化および迅速化に貢献します。

新しいSTM32U5マイコンは、2023年第2四半期に量産が開始される予定です。STのeSoreまたは販売代理店から購入可能で、10,000個購入時の参考価格は約2.15ドルです。価格については、STのセールス・オフィスまでお問い合わせください。

さらに詳しい情報は、ウェブサイトをご覧ください。

*STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は、米国特許商標庁に登録されています。

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