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次世代スマート機器の高機能化と省電力化を実現する新しいSTM32L4+マイコン・シリーズを発表

・クラス最大のメモリ容量と新しいグラフィック機能により、ウェアラブル機器やスマート機器で卓越したユーザ体験を実現 ・円形ディスプレイ向けに最適化可能な先進グラフィック・メモリ・マネジメント・ユニットで、ピクセル処理を効率化 ・実績のある省電力アーキテクチャにより、豊富な機能と長時間駆動を両立

2017年11月15日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーの
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、私たちの身の回りのスマートな電子機器の使いやすさと、バッテリ駆動時間を向上させる最新の超低消費電力マイクロコントローラ(マイコン)を発表しました。

STM32L4シリーズの特徴を継承したSTM32L4+は、120MHz動作時の性能を150DMIPS(233 ULPMark-CP)まで向上させており、あらゆるフィットネス・バンド、スマート・ウォッチ、小型医療機器、スマート・メータ、産業用スマート・センサなどのメイン・コントローラとして利用できます。こうした用途では、いずれも洗練された機能や瞬時の応答が求められるほか、充電時間を最小限に抑える必要があるため、超高効率のSTM32L4+は理想的な製品です。

またSTM32L4+には、超低消費電力マイコンでは最大級の大容量メモリ、最先端で高精細なグラフィック機能、CPU負荷を軽減するChrom-ARTグラフィックHWアクセラレータ™、円形ディスプレイ向けに処理を最適化するChrom-GRCグラフィック・メモリ・マネジメント・ユニット™など設計者が必要とする機能を内蔵しています。

STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次のようにコメントしています。「今や誰もが、スマートな製品が、特別な意識を向けることなく、私たちの生活と一歩先のニーズにスムーズにフィットすることを期待しています。クラス最大のメモリ容量と、超高効率のグラフィック機能を搭載したSTM32L4+シリーズは、洗練された機能とよりスムーズな操作性で、新たなスマート製品を実現します。」

STM32L4+シリーズを使用する設計者は、広範で実績あるSTM32オープンソース開発環境を利用できるため、設計を合理化し、開発期間を短縮できます。この開発環境では、低コストの試作用ボード、サンプル・ソフトウェア、および無償ツールのほか、ST Partner Programに含まれるサードパーティ製の高品質なソフトウェア、ハードウェア、および統合開発環境(IDE)を利用できます。また、従来のSTM32L4マイコン向けに開発されたアプリケーションも、STM32L4+でそのまま実行でき、性能を向上させることができます。

STM32L4+は現在量産中で、各種パッケージ・オプションが用意されています。参考サンプル価格は約6.52ドルです。詳細については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせください。

注記:
STはこれまでに、先進的なSTM32マイコンを30億個以上出荷してきました。STM32は超小型のセンサや埋込み型医療機器から、コンシューマ向けガジェット、生活家電、電動工具、メディア機器、通信機器、コンピュータ、産業用制御機器など、さまざまなハイテク製品に使用されています。STM32L4+は、STM32ファミリの最新シリーズ製品です。「L」は、チップの消費電力を常に最小限に抑える超低消費電力設計の機能とモードを、「4」は、高性能のArm® Cortex®-Mプロセッサを表します。そして最後の「+」は、最新の製品設計に適した処理能力の向上、メモリ容量の増加、内蔵機能の充実、そしてグラフィックの効率と性能の改善を意味しています。

STM32L4+は、メモリ機能強化の一環として、デュアルOcto SPIポートを採用しており、同インタフェースをサポートする初のSTM32製品です。これにより、シングル / デュアル / クアッド / オクタルSPI、HyperBus™メモリ、Flashメモリ、SRAMメモリなどの外部メモリを高速でコードアクセス可能な拡張領域や外部ストレージとして増設する事が可能となり、コスト効率の高いシステムを構築する事ができます。

STM32Lシリーズの全製品で実証されている高度な省電力技術には、機器の低消費電力モード時にSRAMに内蔵された重要なデータやI/Oのピン状態等を保持する独自のFlexPowerControlが含まれています。FlexPowerControlには個別給電領域もあり、最小限の消費電力で処理負荷に対応するために個別の電圧調整と消費電力の抑制が可能です。また、プログラミング可能な内蔵高精度クロックによって、外付け部品を削減でき、低周波数での動作時にも電力消費を最小限に抑えます。さらに、メインの低消費電力モードは7種類あり、それぞれにオプションのサブモードがあるため、低消費電力、短時間での起動、利用可能なペリフェラルおよびウェイクアップ・ソースに応じた最適化が可能です。低消費電力モードの内、シャットダウンモードでは、電流がわずか33nAにまで抑えられます。また、すべてのSTM32L4は、CPUをオフにしても低消費電力モードでデータ取り込みおよび保存が可能なBatch Acquisition Modeもサポートしています。

STM32L4+の豊富な内蔵メモリには、640KBのSRAMが含まれており、高速の演算処理をサポートし、グラフィック性能を最大化します。また、同製品は、低消費電力マイコンとしては最大2級デュアルバンクFlashメモリを内蔵しているため、効率的な書込み・読込みの同時処理を行うとともに、豊富なコードとデータを保存できます。(2MB)さらに、内蔵Flashメモリは高度なエラー訂正機能も搭載しているため、安全基準を見据えた用途にも最適です。

ST独自のChrom-ARTグラフィックHWアクセラレータ™(DMA2D)により、2Dグラフィック演算の負荷からCPUを解放することができます。さらに、2Dコピーや、透過およびアルファブレンディング演算を処理でき、ピクセルフォーマット変換も、CPUの2倍の速度で実行できます。節約できたCPUサイクルは、リアルタイム処理やグラフィック演算との並行処理、または高度なグラフィック処理に割り当てることができます。

Chrom-GRCグラフィック・メモリ・マネジメント・ユニット™は、円形ディスプレイに特化した処理が可能なため、グラフィック処理の負荷は最大20%軽減可能です。メモリの観点から見ると、多くの場合、円形ディスプレイはスクエア・ディスプレイと同様に処理されており、表示されないピクセルの処理でメモリを無駄に消費しています。STM32L4+のChrom-GRCは、有効なピクセルのみを利用するため、メモリのリソース管理を効率化できます。

そのほかにも、豊富なデジタル機能およびアナログ機能として、Host、Device、OTGの各機能による広範なUSBサポートをはじめ、モータ制御等の機能に用いる17本のタイマ、SPI、シリアル・オーディオ・インタフェース、CANなどの通信インタフェース、信号処理やPDM/PCM変換のためのΔΣモジュレータ用デジタル・フィルタなどを搭載しています。

アナログ・ペリフェラルには、高速A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、高精度リファレンス電圧、コンパレータ、オペアンプなどが含まれています。いずれのペリフェラルも、どの動作モードでも電力効率が最大化になるように設計されています。

STM32L4+シリーズには、最大125℃まで対応できる高温に対応した製品もあり、熱放散を十分に行えない環境でも使用することが可能です。

開発者は開発環境のさまざまな要素を利用できるため、コストを抑えながら試作開発を進めることで、新しいマイコンシリーズの潜在能力を最大限に発揮することができます。低価格で柔軟性の高いSTM32L4+ の144ピンパッケージ品が搭載されたNucleoボード(NUCLEO-L4R5ZI)も用意されており、Arduino™ Uno V3およびST morpho拡張コネクタが搭載されています。この他のNucleoボードと同じくに専用プローブを用いずにデバッグが可能です。

さらに多機能なSTM32L4+ Discovery Kit(STM32L4R9I-DISCO)を利用することで、アプリケーションの開発が可能となります。この開発キットは、幅広い用途でオーディオ・グラフィック機能を評価できる24 bpp円形液晶ディスプレイ(1.2インチ、390×390ピクセル)、16-Mbitの内蔵PSRAM、512-MbitのOcto-SPIインタフェースを持ったFlashメモリ、MEMSマイクロフォン、オーディオ・コーデックを備えています。Arduino、Pmod™、およびSTMod+とも接続できるため、さらなる拡張が可能です。

STM32L4+評価キット(STM32L4R9I-EVAL)は、評価と開発に必要な機能を網羅したプラットフォームで、あらゆるマイコンペリフェラルを評価してシステムを構築することができます。

関連する組込みソフトウェアおよびツールは、STの低コストで使いやすいSTM32Cubeプラットフォームに基づいています。このプラットフォームは、STM32CubeMX初期設定ツールと、電力シミュレーション機能搭載のコンフィギュレータ、および包括的なSTM32CubeL4ソフトウェア・パッケージで構成されています。詳細については、 https://www.stmcu.jp/stm32/stm32l4plus/ をご覧ください。